こんにちは、高田です。
私の手帳術や人生設計のパートでは、よく「人生における役割を定めましょう」というお話をしています。
私であれば「経営者」「コーチ」といったビジネスの顔だけでなく、「父親」「夫」「息子」といった「家族」としての役割、あるいは「友人」としての役割、趣味である「サーファー」としての役割など、人は誰しも複数の顔を持って生きています。
そして、それぞれの役割ごとに「長期的にどうありたいか」というビジョンを描き、それに紐づく目標を立てていくことを推奨しています。
しかし、ここで多くの方が直面する大きな壁があります。それが、「役割ごとの目標が衝突してしまう」という問題です。
先日、私のYouTubeチャンネル宛に、フルタイムで働きながら2人のお子さんを育てている管理職の女性から、切実なお悩みのメールをいただきました。
「母親として、そして職場で働く管理職として、それぞれの役割ごとに目標を立てています。しかし、稀に役割ごとの目標が衝突し合ってしまうことがあります。優先順位をつければいいと頭では分かっていつつも、優先順位を下げた方の役割に対して『申し訳ない』『これでいいのだろうか』と気持ちがモヤモヤしてしまいます。高田さんにはこのようなことはありませんか? また、そのような時はどう気持ちを整理すればいいでしょうか。」
このお悩み、本当に多くの方が共感できるのではないでしょうか。
仕事か家庭か、あるいは趣味か義務か。
フルタイムで部下もいる管理職でありながら、家庭では母親としての責任もある。
どちらも大切だからこそ、板挟みになってしまうのです。
結論から言うと、私自身にもこうした葛藤は日常茶飯事のようにあります。
私の場合でいえば、趣味の「サーファー」としての役割と、「少年サッカーコーチ」としての役割が土日にバッティングすることがよくあります。
「サーフィンの大会に出たい、でもその日は子供たちのサッカーの重要な試合がある。さあ、どっちを取ろう……」
と、頭を悩ませるわけです。
このように役割同士が衝突したとき、どうすれば心が折れずに、納得感を持って進むことができるのか。
今回は、私自身の経験やコーチングの現場で実践している「役割の衝突を乗り越える3つの対処法」について、詳しくお話しします。
対処法1:役割ではなく「価値観」の優先順位で考えてみる
まず1つ目のアプローチは、「一度、役割という枠組みを脇に置いて、自分の『価値観』で考えてみる」ということです。
「母親としての役割」と「管理職としての役割」、どちらを優先すべきかという「役割ベース」の思考で考えてしまうと、どうしても「あっちを立てれば、こっちが立たず」の二者択一(A or B)の責め合いになってしまいます。
そして、選ばなかった方に対して強い罪悪感を抱くことになります。
そうではなく、「今この瞬間、自分としては何を一番大切にしたいか?」という、自分自身の根底にある「価値観」に焦点を当ててみるのです。
たとえば、仕事で重大なトラブルが発生して残業しなければならない局面と、子供が急に体調を崩して早退しなければならない局面が衝突したとします。
ここで役割ベースで悩むのではなく、自分の人生理念や価値観に立ち返ったとき、「私はどんなときも『誠実であること』を一番大切にしたい」という価値観を持っていたとしましょう。
そうすると、視点が変わります。「子供のために早退する」という選択をしたとしても、それは母親としての役割を優先したというより、「かけがえのない我が子に対して誠実であるための選択だ」と、自分の価値観に沿って腹を括ることができるようになります。
同時に、残してきた仕事に対しても、「同僚や部下に正直に事情を話し、誠実に謝罪と引き継ぎをする。そして後日、別の形で必ずその穴埋めをしよう」という前向きな行動へとつながります。
「役割の優先順位」ではなく、「価値観の優先順位」。
どちらの役割を選んだとしても、自分の大切な価値観(誠実さ、愛、成長など)を満たしているアプローチは何か、という多角的な視点を持つことで、二者択一の苦しさから抜け出すことができるのです。
対処法2:その「モヤモヤ」の正体を言語化してみる
2つ目の対処法は、「優先順位を下げたときに生じる『モヤモヤ』の正体を徹底的に言語化してみる」ということです。
優先順位をつけて一方を選んだはずなのに、心がスッキリしない。
そのモヤモヤした感情をそのまま放置せず、「なぜ私は今、モヤモヤしているんだろう?」と言葉に置き換えてみてください。普段使っていない意識を使って自分の感情を具体化していくと、ある驚くべき事実に気づくことがよくあります。
コーチングの現場でも、このモヤモヤを言語化していくと、その正体は高確率で次の2つのどちらかに集約されます。それは「罪悪感」か、あるいは「執着(完璧主義)」です。
① 自分で自分を責めていないか(罪悪感)
たとえば「トラブル対応を仲間に任せて帰ってしまった」ということに対する車内メンバーへの罪悪感。
これを言語化してみると、「本当に周りのメンバーはあなたのことを責めているのでしょうか?」という問いに行き着きます。
多くの場合、周囲は「大変だから早く行ってあげて!」と心配してくれているのに、自分自身が勝手に「周りに迷惑をかける悪い自分」を作り上げて、自分で自分を責めている(一人相撲をしている)ケースが大半なのです。
② 知らず知らずのうちに「100点」を取りにいっていないか(執着)
もう1つの正体は「完璧でなければならない」という執着です。
お悩みをくださった方もそうですが、非常に努力家で、真面目で、頑張り屋さんな方に多いのがこのケースです。
「管理職なのだから、トラブルの時はその場に居残って指揮を執るべきだ(100点)」
「母親なのだから、手作りのご飯を食べさせ、お風呂に入れて、寝かしつけまで全部完璧にやってあげるべきだ(100点)」
知らず知らずのうちに、全ての役割において「100点満点のパーフェクトな自分」を目指す前提になっていませんでしょうか。
ここで、自分自身にぜひ問いかけてみてほしいのです。
「何点だったら合格ですか?」
もし、70点でも合格だと思えたなら、 「今日の管理職としての対応は50点だったかもしれないけれど、母親としては80点だった。トータルで見れば十分頑張っているよね」と、自分を許してあげることができるはずです。
モヤモヤを言語化して具体化することそのものが、自分を縛り付けている完璧主義の呪縛に気づかせ、心をフッと楽にしてくれる発見をもたらします。
対処法3:0か100かではなく「期間限定(シーズン制)」で考える
そして3つ目。これが私の中で一番おすすめであり、比較的誰しもに当てはまりやすい現実的な解決策です。
それは、「優先順位の付け方に『季節(シーズンオン・オフ)』を取り入れる」という考え方です。
私たちはどうしても、優先順位を決めようとするときに「今年1年間の優先順位」や「今後の人生の優先順位」といった、長期的な視点で固定して考えてしまいがちです。
「私にとって母親と管理職、どちらが一生の優先順位が上なのか」という風に考えてしまうから、終わりなき葛藤に苦しむのです。
そうではなく、「ショートスパンでの期間限定」にする。つまり、シーズン制を導入するのです。
たとえば、
「今週は、仕事で大きめのプロジェクトの山場があるから、今週に限ってはビジネスパーソンとしての役割を『シーズンオン』にして最優先させてもらう。その代わり、来週は家庭の役割を『シーズンオン』にして、子供との時間を最優先にする」
というように、週単位、あるいは月単位で優先順位がガラリと入れ替わることを自分の中で許容してあげるのです。
私自身のサーフィンと少年サッカーの葛藤も、この「シーズン制」を取り入れた瞬間に、意思決定が劇的に早くなり、心が軽くなりました。
「今はサーフィンの大会が近いシーズンだから、今月はサーフィンを優先させてもらおう。その代わり、この大会が終わってからの3ヶ月間は、サッカーコーチの役割を優先して時間を割くようにしよう」
このようにスケジュールを期間限定で区切ると、「今、優先順位を下げている役割」に対しても、「ずっと放置するわけではない」「来週(来月)になればちゃんと向き合える」という安心感が生まれるため、モヤモヤが残りにくくなります。
「一度決めた優先順位は、ずっと変えてはいけないものだ」という思い込みを捨ててください。
手帳のスケジュールを眺めながら、「今週の私のメインシーズンはどっちだろう?」という風に、ゲーム感覚で柔軟に切り替えていくのがコツです。
最後に:完璧主義の自分を緩める「柔軟力」を持とう
ここまで、役割が衝突したときの3つの対処法をお話ししてきました。
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役割ではなく「価値観」ベースで考えてみる
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モヤモヤの正体(罪悪感・執着)を言語化してみる
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0か100かではなく「期間限定(シーズン制)」で考えてみる
お悩みを送ってくださった方の文章からは、1つ1つの役割に対してきちんと向き合いたいという、もの凄く強い誠実さと責任感が伝わってきました。
しかし、そうした素晴らしい強みを持っている人ほど、時に自分自身を過剰に追い込み、苦しめてしまいがちです。
自分で自分をコーチングする「セルフコーチング」も大切ですが、それだけではどうしても「100点を取らなきゃダメだ!」という頑固な自分に負けてしまう限界があります。
そんなときは、もう一歩視野を広げて、「本当に自分一人だけで解決しなければならない問題なのか?」という視点も持ってみてください。 家族の誰かに少しだけ甘えて役割を分担できないか?
会社であれば、上司を頼ったり、部下に思い切って任せたりすることはできないか?
周りを頼ることもまた、一つの誠実な選択肢です。
すべての役割で100点を取る必要はありません。
ぜひ、今日お話しした3つのアプローチを手帳を開きながら実践していただき、もう少し自分を緩めて、柔軟に、これからの人生を楽しんで進めていっていただければと思います。
それでは、また!