こんにちは、手帳ライフコーチの高田です。
私は大学を卒業した後に、新卒でネット系広告代理店に就職し、独立・起業した現在もネット系の会社の経営者という顔も持っています。
いわゆる、ベンチャー企業で新卒から働いていたわけなんですが、そこでは文字通り“死ぬほど”働いたわけです。
「働き方改革」や「ワークライフ・バランス」などと騒がれるようになった現在となっては、ハードに仕事することがどこか「悪」のような風潮が否めませんが、何もハードワークはデメリットばかりではなく、そこから得られる恩恵もあります。
前述のような世間的な潮流を踏まえると声を大にして言うのは難しいですが、むしろ私は、20代のうちは「もうこれ以上、無理・・・」っていうほど仕事に没頭するべきではないかと思っています。(※あくまで個人的な意見なので、反論とかはいらないです。笑)
では、自分はどうだったのか?
ということで、ベンチャー企業で死ぬほど働いた自分自身の20代を振り返りながら、そこから「得られたもの」と「失ったもの」を整理してみたいと思います。
国をあげた「働き方改革」が求められている今の時代の流れにはそぐわない内容ですが、20代のビジネスパーソン、特にこれから社会に出る就活生の方々の何かの足しになればという想いを込めて書くことにします。
ベンチャー企業ってどんな感じなのか?
私が新卒で入社した会社は、インターネット広告を扱う広告代理店でした。
広くとらえるとネット業界の、いちプレーヤーです。
当時のネット業界は、他の業界ではみられない程の進化の早さから「ドッグイヤー」と呼ばれていました。
これは、犬の成長が人と比べて7倍速いことに例えた俗語のようです。
私がいた会社の業績は、倍々ゲームで拡大。
市場自体が急成長していたので、昇りのエスカレーターのうえを走っているような感覚でしょうか。
新入社員も毎月のように加わっていき、全社員の2/3以上が入社1年未満なんて状態だったと記憶しています。(たしか・・・)
私が就職活動をしていて内定をもらった時が、100名ちょっとぐらい。
いざ、大学を卒業して入社した時には、すでに300名近くになってました。
でもって、入社後2~3年で1,000人近くまで従業員数は拡大していましたので、社内のインフラや制度が追い付かないことは容易に想像がつくと思います。
自ら現場で学ぶしかない
そんな状況ゆえに、社員教育の仕組みや制度なんてものは皆無に等しく、みんながみんな「新人」と言ってもよい状態です。
当然、仕事を1から10まで丁寧に教えてくれる人なんていませんでした。
つまり、必要なことは全て自分から吸収していくしかない環境です。
「教えてくれる人はいないんですか?」とか「教えてもらっていないので出来ません」みたいな、受動的な人は即淘汰されます(そもそも、どこに行っても通用しないとは思いますが)。
毎日受信するメールの量は、200~300通。
月の平均残業時間は、余裕で150時間越え。
仕事を終えて家路につくのは、ほぼ終電か深夜タクシー。
終電を逃し、仕方なく会社近くのマンガ喫茶にいくと、そこにいる客の大半が同僚。なんていう有様です。
「血尿が出た」なんて人はザラ(笑)
睡眠不足と疲労のせいで、トイレで倒れて救急車で運ばれてしまった同僚もいました。
ただ、体力的にキツイだけならまだ良い方で、ときに精神的に追い込まれてしまうような人もいました。
実は、それが私です。
精神的に病んでしまった時代
ここまで、劣悪な環境であることをツラツラと書いてしまいましたが、将来起業することを志し、そのためにハードに働ける環境を望んでいた私にとっては、なんの不満もありませんでした。
むしろ、次から次へと仕事を任せてもらえる(任せざるを得ない?笑)環境に、喜びすら感じていました。
しかし、私は社会人3~4年目ぐらいのときに、軽度の鬱状態になりました。
理由は、今風の言葉でいうと「パワハラ」です。
社内ではなく、クライアント(顧客)からのパワーハラスメントでした。
会社にとって絶対に取引を落としてはならない、大口顧客だったゆえのものです。
平然と無茶難題を求めてくるクライアント。
こちら側がすべての要望に応えざるを得ないほど、取引額が大きかったからでしょうか。
顧客側とはいえ、企業の看板を背負ういち社会人として、いかがわしい態度や言動の担当者さんもいました。
なかには、人道に反するような行為を受けたことさえありました。
それでも、それらに常に応え続けなければいけない私。
逃げることはできず、とにかく我慢し続けていました。
当然、そんな状態が長く続くと、精神的にやられてきます。
軽度の鬱症状でした。
日曜の夜になると、翌日の仕事が怖くて気分が暗くなる「サザエさん症候群」どころではなく、私の場合は土曜の夕方からそれが始まっていたほどです。
精神的に追い詰められていた私は、お酒に走りました。
医者から診断された訳ではありませんが、今思うとたぶん、軽いアル中です。
さすがに、平日の仕事中にお酒を飲むようなことはありませんでしたが、週末はほぼ常に酔っ払っている状態。
なぜならば、正気でいると会社に行くのが怖くて仕方がなかったからです。
私はもともと、親譲りでお酒が極度に弱かったのですが、この経験から人並み以上には飲めるようになったという副産物はありました。笑
死ぬほど働いて得られたもの
本題に戻ろうと思います。
では、ベンチャー企業で死に物狂いで仕事をしてきて得られて物は何だったのか?
私の場合は、「成長」でした。
スポーツ選手が手っ取り早く上達する方法は「ハイレベルなチームに所属すること」と言われますが、まさにそれと同じ。
劣悪ともいえるベンチャー企業の労働環境は、自分を短期間で最大限に成長させるための修行の場であったと感じます。
多少偏見が入っていると思いますが、社内インフラや制度がきちんと整った「定時あがり」が当然のような環境であったなら、きっとそうは感じられなかったと思います。
さらには、「ハードワーク体質」に育ったことも、起業した私の場合はプラスとなってます。
ゼロから起業する場合、当然ですが会社員とは異なり何の保証もありません。
給料日になれば、銀行口座に勝手にお金が振り込まれているなんてことも無いです。
「19時まで仕事したらOK」なんてものも無く、事業を軌道に載せない限りは、多少の寝る時間と食事の時間以外はすべて仕事に充てるぐらいの姿勢が求められます。
つまり、起業したらかなりハードに働くことが求められるのですが、その体質が既に備わっていたのは有利に働いたと思います。まったく苦じゃないですからね(笑)
今となっては、起業予備軍ともいえるような方々から、「起業したいと考えているのですが、そのために何をしておくべきでしょうか?」といったご相談をよく頂きますが、私がいつも「死ぬほど仕事に没頭する経験を積んでおくこと」と笑いながら答える理由は、前述のような考えからなのです。
死ぬほど働いて失ったもの
物事には、必ず「メリット・デメリット」という形で両側面が付きものですが、ベンチャー企業で死ぬほど働いたことによって、逆に失ったものもあったと思います。
その1つは、お遊びの時間や経験です。
当然ですが、ほとんどプライベート的な時間が充分に取れていないので、お遊びの時間や経験は同じ20代の若者と比べたら極端に少ないと思います。
私は、10代から今もなおハマっているサーフィンだけは続けたかったので、社会人になる際に「サーフィン以外のことには手を出さない」とMyルールを設けました。
趣味やお遊びの時間はほぼ無くなるということを覚悟していたので、それでもサーフィンを続けるためには、他は捨てようと。自ら「仕事」と「多少のサーフィン」以外をすべて断ちました。
なにで、今の私から仕事とサーフィンを取り除くと、ほぼ取り柄のない人間になってしまいます。笑
また、これほどまでに仕事に没頭してきたので、もしかしたら、普通の人よりも友達が少ないかもしれません。
いま自分が、「友達が少ない」という実感はさほど無いので、「本当なら、もっと友達が多かったかもしれない」といった方が正確でしょうか。
これらは、私にとってまさに、死ぬほど働いていたからこそ失ったものだと感じています。
後悔はしてないか?(まとめ)
ベンチャー企業で「死に物狂い」で仕事に没頭した20代の頃の経験が無かったら、やりたい仕事にやりたいように取り組めている今の自分は存在しなかっただろう。
ちょっと、長くなってしまったので、そろそろ纏めに入ろうと思います。
では、20代の頃の自分を振り返って、後悔していないかといえば、まったく後悔してません。
それらの経験を積んでいなかったら、今の自分は確実に存在していなかったと思います。
起業しても失敗していたかもしれないですし、人前で話すような講師業なんかは出来なかったでしょうし、ビジネス書の出版も無理だったと思います。
ただ、「もう一度、20代に頃に戻りたいですか?」と聞かれたら、「それは嫌です」と答えます。笑
思い返すだけで吐き気するほどキツかったので、「もう一度やれ」と言われたら、それはそれで無理だと思います。。。
ということで、長くなりましたが今日はこの辺で!